AnotherStoryフレームの修復

2017/07/13

当社が手がけた実例をお見せします
 

■はじめは、突然のお問合せメールでした。

サイクルスポーツ誌2012年3月号に弊社の記事(特許技術製法)が掲載された間もない時にユーザー様から1件の問合せメールがありました。
添付画像を見るとトップチューブとダウンチューブが完全に破断していて、ヘッドチューブが離れていました。
さすがに費用も含めて簡単にはいかないのは容易に判断出来ましたが、ユーザー様のコメントには何か感じるものがありました。
 

そもそも、このようなものを使える状態にすることは可能なのでしょうか?また、可能だとしてもあまりに費用がかかるようでは、とも考えています。
御社を知るまでは、修復する気などまったくありませんでした。ただ、捨てる気になれずに持っていただけです。
しかし、可能性があるならばと思い、メールさせて頂きました。(お客様からのコメントより)
 

■お客様の愛着を感じ、ご提案させていただくことに。

通常であれば、新品フレーム1本購入(200,000円以上)できるくらいの費用がかかるとの判断もありましたが、敢えて問合せをしてこられたユーザー様のフレームに対する“強い愛着”を感じ、弊社としても復活させるお手伝いをする事としました。
 

●まさか完全に切断されたフレームを復活できるとは!

修復は可能なのですね。まさか完全に切断されたフレームを復活できるとは、御社の技術力には、驚くばかりです。修復する際には、重量が増えることは認識していました。ある程度の増加は問題ないと思います。金額のイメージですが、あれだけのものを実用強度にするには、高度な技術力が必要だと思いますので、かなりの修復費用はかかると思います。(お客様のコメントより)
 

■特別プロジェクト、スタート。

復元方法など考えるお時間を頂きながら何度かメールのやり取りをし、プロジェクトとして最終的にご提案、作業開始する運びとなりました。この時点でユーザー様にフレームを送っていただく依頼を致しました。 
 

●またKULTに乗れるなんて、想像もしなかった!

修理を引き受けていただき、ありがとうございます。まさか、またKULTに乗れるとは想像すらしたことがありませんでしたが、御社を知り、だめもとで問い合わせをさせて頂き、厳しい予算の中、ご検討いただき、引き受けて頂けるとの回答を見たときには、言葉になりませんでした。(お客様のコメントより)
 

■実際に目にしてみると・・・

実際にフレームが到着し、検査してみると事前画像情報よりもさらに状況が思わしくない事が判明しました。ダウンチューブの損傷具合は特にひどく、BB付近まで裂傷していました。しかし、いったん引き受けた以上はこちらとしても簡単にあきらめたりはしません。お客様の熱意に答えるべく、技術/開発スタッフと様々な角度から協議を重ねました。
 


ようやく接合方法と積層方法(ハイブリッド)が決まりました。作業開始です!具体的な復元(特許技術製法)作業内容は様々なノウハウをつぎ込んでいますので、社外秘という事でご了承のほどを。基本データを基に様々なポイントの位置決めをし、主にレーザーアライメントで測定しながらの接合(復元)作業となりました。
 

●分裂していたものが、フレームになっていますね!
■高精度接合、そしてドライカーボン補強。さらにカスタムペイントも承りました。

節行作業が終了後、いよいよドライカーボンによるハイブリッド(補強)です。トップチューブとダウンチューブはかなりの負荷がかかりますので、それぞれ積層して強度を確保します。この時点でユーザー様からカスタムペイントのご要望をいただきました。オリジナル性を持たせ、カーボン補強を大胆に見せるデザインに、という事で補修/補強完了後にペイント作業へと作業を進めて、遂に完成となりました。
 

●感動です!クリア塗装も正解でした。

画像ありがとうございます。ほんとに、感動です。フレームは素晴らしい仕上がりで、カーボンデザインが綺麗に出てますね。クリア塗装は正解でした。オリジナルなフレームになりましたし。早く実車を見たいですが、鈴鹿が終わるまではお預けですね。(注:鈴鹿シマノロードに展示してからユーザー様へ発送です。)
 

 
■試乗でも全く問題なし。カーボンの修復は、可能です。 

ユーザー様から送っていただいたコンポーネンツを組み付け、コンプリートとして復活いたしました。弊社の開発ライダーがテスト試乗しても全く問題はありませんでした。今回のプロジェクトでは、ドライカーボンは確立された高度な技術、製法、デジタル機器を活用して対応すれば復元、修理は可能だという事を知っていただくためのものでした。これは、私たちのスタンダードなスタイルの一つです。もちろんユーザー様の再び乗りたいという熱意があったからこそ実現したのは言うまでもありません。未だにちょっとした傷程度でもカーボンは直せない、直しても強度が落ちる、などいう話を耳にします。安易な思い込みや誤った修理方法、推測で判断されている事が残念でなりません。一例ではありますが、皆さまの再考する一助になればと思います。
 


 

●カーボンバイクに踏み切れないあなたに勇気を。 

イベントのための貸し出し、ウェブや広告の掲載は喜んで協力させていただきます。御社の技術力がいろんなところで、いろんな人の目に触れ、カーボンバイクの購入に踏み切れない人たちに、勇気を与えて頂きたいと思います。実際、私の周りでもカーボンは修理ができない、ちょっとのクラックが入ったら終わり、取扱が難しいなどの認識で、敬遠する人がいます。たしかに、取扱に気を使う部分はありますが、もし、損傷しても修復が可能だとしたら、考え方は大きく変わると思います。(お客様からのコメントより)
 

鈴鹿シマノロードに展示してからユーザー様へ発送です。
 

画像とコメントを頂戴しました。  

しばらくして、ユーザー様から画像とコメントを頂戴しました。お気に入りのコンポに装換してあるようで、また違った雰囲気を醸し出していますね。第2章の幕開けといったところでしょうか。
 

●お客様ご自身の、乗車インプレッション。 

KULTの組み上げが完了し、乗車してきましたので写真と簡単なインプレッションをご報告します。(お客様からのコメントより)

1.フレームを見た時の感想
改めて、御社の技術に感動しました。KULTはトップチューブ、ダウンチューブ共に形状が複雑で、特にトップチューブは凸形状でかつ、弧を描いており、一番気に入っているKULTの特徴の箇所でありますが、見事にオリジナルと変わらない形状が再現されていました。カーボン地も、オリジナルと合わせて頂き、ぱっと見は違いが分かりません。

2.乗車した時の感想
どうしても、分断されていたフレームの記憶が鮮明に残っており、正直、乗車するときは不安がありました。失礼ながら、もしかして、乗車中にぽっきり折れてしまわないかと。100km程乗車しましたが、乗れば乗るほど、その不安はなくなり、フレームが分断されていた、記憶が薄れていくようでした。まず、フレームバランスはオリジナルのものと変わらない。が正直な感想です。若干、重さを感じるような、感じないような。まー気にならない範囲です。一番明確なのは、ダンシングがしやすくなったことです。それは、トップチューブとダウンチューブの剛性があがったためか、フレームにロスがなく、ダイレクトに反応しているように感じます。これからも大切に乗って行きたいと思います。本当にありがとうございました。